再会を果たす前くらい。
苗子ちゃんはずっと千葉君をおぼえてる。
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「苗子、何にする?」
「うーん、紅茶かな」
ミンミンとアスファルトの照り返しがキツイ。
乾いた体が水を求めて自販機にコインを入れる。
サンプルを撫でていた猫っけのある眼がピタリと止まった。
光るボタンに指が触れて、ガコンと冷たく何かが落ちた。
「何それ。紅茶にするんじゃなかったの?」
「あ、何となくこっちかなって」
その右手には『仮面サイダー』。
ただ何となく、選んでしまっただけのこと。
ただ何となく、力が湧いてきそうな気がしただけのこと。
「さてっと、お昼からも頑張るぞー!」
「この暑い中よくそんなことが言えるわねぇ」
へへっと冷えた缶を頬にあてて、
照れたように彼女は笑った。